2011年02月

イメージ 1

 かあま昔(んかし)、水(みじ)んけえ枯りてぃ、飢饉(がし)んかい成やあに、村ぬ人(ちゅ)ん達(ちゃあ)が水とぅめえてぃ歩(あ)っちょおたるばす、山道から水んかい濡(ん)でぃとおる犬(いん)ぬ出(ん)じてぃ来(ち)ゃあに、胴振(どぅうふ)てぃ、胴んかい付(ち)ちょおたる水いっぺえ、撒ち放(ほう)たん。
 うり見(ん)ちゃる村ぬ人ん達や、犬賺(いんしか)ち、水ぬ在(あ)ぬ所(とぅくま)んかい案内(あんねえ)しみたんでぃぬ事(くとぅ)。うぬ水源(みじどぅくる)が嘉手志川(かでぃしがあ)やんでぃぬ伝え話ぬあん。
 似ちょおる話や与勝(よかつ)んでえ沖縄(うちなあ)ぬあまくまんかいあしが、くまあ南山城(なんざんぐしく)ぬ直(し)ぐ近くやくとぅ、名(なあ)ぬ立っちょおん。
 「川(かあ)」ん「大泉(うふいじゅん)」ぬん、沖縄語(うちなあぐち)しえ、同(い)ぬ如(ぐとぅ)、「かあ」んでぃ言(ゆ)ん。

【語句】
かあま昔=ずっと昔。「かあま」は「ずっと」。「かあまあま」は「ずっと向こう」。
水んけえ枯りてぃ=水も枯れてしまい。「けえ」は動詞の前に付く副詞で「~してしまう」の意味。
飢饉んかい成やあに=飢饉になって。沖縄語では「がし(『餓死』から来た語)」が「飢饉」の意味として使われている。
村ぬ人ん達が=村人達が。
水とぅめえてぃ歩っちょおたるばす=水を探していたところ。
山道から水なかい濡でぃとおる犬ぬ=山道から水で濡れた犬が。「水なかい」は「水し」でもよい。
出じてぃ来ゃあに=現れて。
胴振てぃ=体を振って。
胴んかい付ちょおたる水いっぺえ=体についていた水をことごとく。「水いっぺえ」は「水がたくさん付いている様子」。
撒ち放たん=撒き散らした。
うり見ちゃる村ぬ人ん達や=それを見た村の人々は。
犬賺ち=犬を賺して。犬を可愛がり。
水ぬ在ぬ所んかい=水のあるところへ。
案内しみたんでぃぬ事=連れて行ってもらったとのこと。
うぬ水源が嘉手志川やんでぃぬ伝え話ぬあん=その水源こそ嘉手志川だという伝説がある。
似ちょおる話や与勝んでえ=同様な話は与勝など。
沖縄ぬあまくまんかいあしが=沖縄のあちこにあるが。「おきなわ」は「うちなあ」の文語表記で、「おもろさうし」にある。
くまあ南山城ぬ直ぐ近くやくとぅ=ここは南山城の直ぐ近くなので。
名ぬ立っちょおん=有名である。
「川」ん「大泉」ぬん=「川」も「大泉」も。ちなみに小さな泉は「いじゅん」という。
沖縄語しえ=沖縄語では。
同ぬ如=同じ発音で。「同(い)ぬ」は地方によっては「ゆぬ」ともいう。
「かあ」んでぃ言ん=「かあ」という。

イメージ 1

 真壁城(まかびぐしく)や、なんぞお音(をぅとぅ)に立っちぇえ居(をぅ)らな、知っちょおる人(ちゅ)ん、いきらいぎさん。 
 ヤマトゥんかい同(い)ぬ名(なあ)ぬ城ぬあん。沖縄語(うちなあぐち)や危機言語(ちちぎんぐ)やんでぃ言(い)ゃっとおしが、くりかあんじえ、今(なま)ちきてぃ、まる平生(ふぃいじい)ん、うちなあぐちぬ使(ちか)あらってぃ、30代ん普通(ふつう)に使(ちか)とおん。
 「漫才敵討」「大城崩」し名ぬ立っちょおる組踊作家(くみをぅどぅいさっくぁ)ぬ田里朝雲上朝直)んくまぬ出(ん)じいやん。んちゃ又、くりかや、「おもろさうし」風儀(ふうじい)ぬ発音(はちうん)ぬ残(ぬく)とおる地域(とぅくま)んやん。例(たとぅ)れえ、「今日」や、他(ゆす)んじえ、「ちゅう」でぃちる発音すしが、くまりかあんじえ、「きゆ」んでぃ言ん。

【解説】
真壁城や=真壁城は。
なんぞお音に立っちぇえ居らな=それほど、有名ではなく。「なんぞお」は「あんすかあ」、「あんすけ」ともいう。「な」は否定を表わす。
知っちょおる人ん=知っている人も。「ん」は日本語の「も」に対応する助詞。
いきらいぎさん=少ないようだ。「いきらさん」は「少ない」。「きさん」は「~ようだ」。
ヤマトゥんかい=本土に。
同ぬ名ぬ城ぬあん=同じ名の城がある。「同ぬ」は「ゆぬ」と発音する地方もある。
沖縄語や危機言語やんでぃ=沖縄語は危機言語だと。
言ゃっとおしが=言われているが。
くりかあんじえ=ここいらでは。「くり」は「これ」。「くりかあ」は「ここらへん」。「んじえ」は「~では」などと場所を示す助詞。
今ちきてぃ=今も。今なお。今だかって。「今ん(今も)」でも良い。
まる平生ん=普段も。単に「平生」でもよい。
うちなあぐちぬ使あらってぃ=沖縄語が使用され。
30代ん普通に使とおん=30代の世代も普通に使用している。
「漫才敵討」「大城崩」し=「漫才敵討」、「大城崩」で。「し」は「~で」を表わす助詞。
名ぬ立っちょおる=有名な。
組踊作家ぬ=組踊作家である。
田里朝雲上朝直)ん=田里親雲上朝直も。「ん」は日本語の「も」に対応する助詞。「親雲上(ぺえちん)は位を表わす語。氏名だけだと「田里朝直」である。
くまぬ出じいやん=ここの出身である。「やん」は「だ」「である」の意味の存在動詞。
んちゃ又=日本語には訳しくいが、「言われてみれば」「なるほど、そういえば」等の意味となる。
くりかや=ここいらは。「や」は日本語の係助詞「は」。沖縄の係助詞は前語の語尾によって、「や」のほかに「あ」、「え」、「お」、「のお」があり、ヤ系係助詞と称されている。
「おもろさうし」風儀ぬ=「おもろさうし」風儀ぬ=「おもろさうし」風の。
発音ぬ残とおる地域んやん=発音の残る地域でもある。
例れえ=例えば。
「今日」や=「今日」は。
他んじえ=ほかの地域では。
「ちゅう」でぃちる発音すしが=「ちゅう」と発音するのであるが。「でぃちる」の「る」は強調助詞「どぅ」の清音。
くまりかあんじえ=ここいらでは。
「きゆ」んでぃちる発音する=「きゆ」と発音するのである。「る」は前述にもあるように強調助詞で、これを受けて、述語動詞「発音する」は連体形で結ぶのであって、日本語風になっているのではない。

↑このページのトップヘ