2011年10月

イメージ 1

 くま於(をぅ)とおてぃ、6500年前ぬ(にんめえ)ぬ土器とぅか貝(けえ)ぬ鏃(やじい)んでえぬとぅめえらったんでぃぬ事(くとぅ)。
 うんな土器そうなむんや九州から南西諸島迄(までぃ)あたるむんやんでぃぬ事。また、貝(けえ)ぬ鏃や、中国南部(ちゅうぐくなんぶ)ぬむんとぅ同(い)ぬむんでぃ考(かんげ)えらっとおいぎさん。 天(あま)ん世(ゆう)んじえ、国境(くにぬさあけえ)んでぃしえ無(ね)えなら、人(ちゅ)お、諸(むる)、渡い鳥(どぅい)ねえ、自由に行ち戻(むどぅ)いそおたんでぃち考えらっとおん。
 藪地(やぶち)んかいや、実(じゅん)に、色(いる)んな伝(ちて)え話ぬあん。
 沖縄中(うちなあまぎり)ぬユタぬ拝(うがみ)み所(どぅくる)やんとぅか、亡(ま)あちょおる人が後生(ぐしょう)んかい行ちゅる前に、必(かんな)じ、通(とぅう)ゆる所(とぅくる)やんとぅか、昔(んかし)え、屋慶名(やきな)あ藪地んかい在(あ)たんとぅか…。

【語句】
くま於とおてぃ=ここで。「くまんじ」、「くま於てぃ」でもよい。
6500年前ぬぬ土器とぅか貝ぬ鏃んでえぬ=6500年前の土器や貝の鏃などが、
とぅめえらったんでぃぬ事=発見されたとの事。
うんな土器そうなむんや=そのような土器のようなものは、
九州から南西諸島迄あたるむんやんでぃぬ事=九州から南西諸島まであったものだという。
また、貝ぬ鏃え=また、貝の鏃は、
中国南部ぬむんとぅ同ぬむんでぃ=中国南部のものと同じと、
考えらっとおいぎさん=考えられているようだ。
天ん世んじえ=はるか古代では、
国境んでぃしえ無えなら=国境というものはなく、
人お、諸、渡い鳥ねえ=人は皆、渡り鳥のように、
自由に行ち戻いそおたんでぃ=自由に行き来していたと
ち考えらっとおん=考えられている。
藪地んかいや、実に=藪地には、実に、
色んな伝え話ぬあん=伝説がある。
沖縄中ぬユタぬ拝み所やんとぅか=沖縄中のユタの拝所であるとか、
亡あちょおる人が後生んかい行ちゅる前に=亡くなった人が、あの世に行く前に、
必じ、通ゆる所やんとぅか=必ず、通過する所であるとか、
昔え、屋慶名あ藪地んかい在たんとぅか…=昔は、屋慶名は藪地にあったとか…。

イメージ 1

 石碑(しちひ)んかい書かっとおる記事(ちじ)に拠(ゆ)いねえ、上(ゐい)ぬ平地(とうばる)からうぬ河迄(かあまで)え、坂(さか)ない成やあに、石段(いしだん)ぬん150段(だ)ぬんあんでぃぬ事(くとぅ)。
 我(わん)にん、うぬ坂ない、行(い)ち戻(むどぅ)いさしが、でえじな難儀(なんじ)やたん。石碑ぬ琉歌(るうか)んかいん、「伊計人(いちんちゅ)の嫁(ゆみ)や ない欲(ぶ)しゃやあしが 犬名河(いんながあ)の水(みじ)の 汲(く)みぬあぐで」でぃちあん。やしが、音打(うとぅう)っちょおる玉城(たまぐしく)ぬ垣(かち)ぬ花(はな)樋川(ひいじゃあ)とぅ集落ゆ行ち戻いすぬ道ん同(い)ぬ如(ぐとぅ)、坂ないやん。樋川んでぃしえ、うんな所(とぅくる)んかいどぅあるむんやら筈(はじ)。
 今(なま)あ、まあんくぃん整備(しいび)けえさってぃ、分からん成とおしが、童(わらび)ぬばす行(ん)じゃる田畑(たあはた)ぬ近くんかいや、いいくるぐな泉(いずん)ぬあたるむぬやん。

【語句】
石碑んかい書かっとおる記事に拠いねえ=石碑に書かれた記事によれば
上ぬ平地からうぬ川迄え=上の平地からその川までは。「平地」は「とうばる」という。「桃原」という地名も「平地」の意味があろう。「桃原」の「桃」は「桃源郷」を連想させるための当て字ではなかろうか。
坂ない成やあに=急勾配になっており。「坂ない」は「急坂」。
石段ぬん=石段も。「いしだぬん」は「いしだん(石段)+ん(も)」だが、語末に「ん」が連続するため、前の「ん」が「ぬ」に変音し、「いしだぬん」となるのである。他例:「三味線ぬん弾ちゅんなあ(三味線も弾くのかい)」。次の語句「150段ぬん」もその例である。
150段ぬんあんでぃぬ事=150段もあるとのこと。「150段ぬん」の語音は「ひゃくぐじゅうだぬん」。「段」の「ん」音と助詞「ん(も)」が連続するために、「~ぬん」と変音する。
我にん=私も。地方では「我(わ)ぬん」ともいう。
うぬ坂ない、行ち戻いさしが=その急坂を往復したが。口語(話しことば)では、目的を表わす助詞「ゆ」は省略される。
でえじな難儀やたん=大変難儀であった
石碑ぬ琉歌んかいん=石碑の琉歌にも
伊計人の嫁や=伊計人にの嫁に。琉歌は助詞「ぬ」を「の」と表記する。大和語の影響を受けた表記と考えられるが、序に、口語音を逆算的に大和語風に表記する方法も行なわれた。だが、その試みは、中途半端で、全面的に大和語風というわけではないことは、組踊脚本において見受けられる。
ない欲しゃやあしが=なりたいのであるが。「ない欲しゃ」の「や」はヤ形係助詞(日本語の「~は」)であるが、口語では「ない欲しゃ」と、「あ」になる。この「あ」は、「や」と同じ、ヤ系係助詞で、主語の語尾が「a」になる場合に用いられる。音韻的には、元々の「や」が主語の語尾に吸収されるとも言える。また、「欲しゃ+あしが」は「欲しい+あるが」の意味であるが、「欲しゃ+しが」という逆接用法もある。例:「ちゅらさ+しが」、「ふぃるまさ+しが」。
犬名河の水の=犬名河の水が。日本語の「~が」を表わす助詞は、沖縄語では本来「ぬ(ここでは「の」)」が優勢であるが、最近は日本語の影響で「が」も許されている。
汲みぬあぐで=汲みあぐねて。「~あぐで」の「で」も「でぃ」の文語表記である。
でぃちあん=とある
やしが、音打っちょおる=だけど有名な
玉城ぬ垣ぬ花樋川とぅ集落ゆ=玉城の垣の花樋川と集落を
行ち戻いすぬ道ん=往復する道も
同ぬ如=同様に、同じように、
坂ないやん=急坂である
樋川んでぃしえ=樋川(泉)というのは
うんな所んかいどぅあるむんやら筈=そういう所にあるものなのだろう
今あ、まあんくぃん整備けえさってぃ=今はどこも整備されてしまって。「けえ」さってぃ」の「けえ」は、「~しまう」の副詞で動詞(存在動詞含む)の前に付く。
分からん成とおしが=分からなくなっているが
童ぬばす行じゃる=
子供の頃に行った
田畑ぬ近くんかい や=
田畑の近くに は
いいくるぐな泉ぬあたるむぬやん=
たいてい、小さな泉があったものだ'''。

↑このページのトップヘ