2011年12月

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 恩納(うんな)ナビぬ琉歌(るうか)なかい歌らっとおる故(ゆい)に、音打(うとぅう)っちょおる比謝橋(ふぃざばし、ひじゃばし)やしが、今(なま)あ、ただぬコンクリートぬ田舎橋(いなかばし)なやい、うぬ風情(ふじい)や昔(んかし)ぬ橋(レプリカぬあん)ぬさくん無(ね)えらん。
 まんぐらんあぬ石碑(しちひ)んかいや、「恨む比謝橋や情けないぬ人ぬわぬ渡さと思てかけておきやら」でぃぬナビぬ琉歌ぬ書かっとおん。
 ナビぬ琉歌ぬふぃるまさる所(とぅくる、特徴)お、如何(ちゃあ)んならん物(むぬ)やらわん、自(どぅう)ぬ肝(ちむ)んかい触(さあ)ゆる物(むぬ)んかいや、肝(ちむ)ぬ底(すく)から>悪口言(やなぐち)る所(とぅくる)おあらに。
 琉球(るうちゅう)んかいん、うんな肝高(ちむだか)さる女ぬ居(をぅ)たんでえ、ゐりきさぬならん。

【語句】
恩納ナビぬ琉歌なかい=恩納ナビの琉歌で
歌らっとおる故に=歌われているために、
音打っちょおる比謝橋やしが=有名な比謝橋であるが
今あ、ただぬコンクリートぬ田舎橋なやい=現在は、ただのコンクリート造りの田舎橋であり、
うぬ風情や=その風情は、
昔ぬ橋(レプリカぬあん)ぬさくん=昔の橋(レプリカあり)ほども、
無えらん=ない。
まんぐらんあぬ石碑んかいや=近くにある石碑には、
恨む比謝橋や=恨めしい比謝橋は。口語も同じ。
情けないぬ人ぬ=情けを持ち合わせてない人が。口語では「情(なさ)き無(ね)えん人(ちゅ)ぬ」または「情くぬ無えらん人(ちゅ)ぬ」となる。「人(ふぃとぅ)」は日本語の影響を受けた文語的言い方で、口語では用いないのである。
わぬ渡さと思て=私を渡そうと(通そうと)。口語では、「我渡(わんわた)さんでぃ思(うむ)てぃ」。八八八六の韻を優先させる琉歌の場合は文法を無視し、語を略する傾向にある。比謝橋を渡って、辻(那覇)の遊郭に売られていく恨みを比謝橋にぶつけて読んだ琉歌である。
かけておきやら=架けておいたのだろうか。口語では「架きてぃ、置ちぇえら(置ちゃら)」。
でぃぬナビぬ琉歌ぬ書かっとおん=とのナビの琉歌が記されている。
ナビぬ琉歌ぬふぃるまさる所(特徴)お=ナビの琉歌の不思議なところ(特徴)は、
如何んならん物やらわん=どうしようもないものであっても、
自ぬ肝んかい触ゆる物んかいや=自分の癪に障るものに対しては。
肝ぬ底から=心の底から
悪口言る所おあらに=悪口を叩くところではないのか。
琉球んかいん=琉球にも、
うんな肝高さる=そのような気高い情念を持った
女ぬ居たる事ぬ=女性が居たことが
ゐりきさぬならん=嬉しいのである。

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 残波(ざんぱ)ぬ海端(うみばた)んかいや、ハマスーキ(スーキ。和名やクサトベラ)ぬいっぺえ、広(ふぃる)がとおん。
 火山岩ぬ上辺(うわあび)、覆(うす)とおる土(んちゃ)、砂(しな)ぬ上(ゐい)んじ、生(み)いとおん。
 近くんかいや、まぎホテルんあい、観光客(くぁんこうちゃく)んまんどおしが、くまぬ中(なあか)んかい踏(くだ)み入(い)っち行(い)いちいねえ、あまとぅがいくまとぅがいそおる火山岩故(ゆい)に、足痛(ふぃさや)ましいがすらん分からんあい、うかあさぬならぬ。
 やくとぅ、人(ちゅ)なかい踏(くだ)みらったる事(くとぅ)ん無(ね)えらんあがらん分からん。 やくとぅる、くまぬハマスーキや、あんすか迄(までぃ)ん、ゆかとおる筈(はじ)。
 沖縄(うちなあ)ぬ浜やれえ、まあにんあぬ草どぅやしがる。

【語句】
残波ぬ海端んかいや=残波の海岸には、
ハマスーキぬいっぺえ、広がとおん=クサトベラが、いっぱいに広がっている。
火山岩ぬ上辺、覆とおる土、砂ぬ上んじ=火山岩の上を覆う土砂の上に
生いとおん=生えている。
近くんかいや=近くには、
まぎホテルんあい=大きいホテルもあり、
観光客んまんどおしが=観光客も多いが、
くまぬ中んかい踏み入っち行いちいねえ=ここの中に踏み入ると、
あまとぅがいくまとぅがいそおる=凹凸の激しい。直訳は「あちらが尖りこちらが尖り」。「とぅがい」は動詞「尖(とぅが)ゆん」から派生した名詞。闘牛名にも、よく「○○とぅがい」というのがある。いかにも尖った角の持ち主を連想させる名前だ。
火山岩故に=火山岩の所為で、
足痛ましいがすらん分からん=足を痛めるかもしれない。
やくとぅ、人なかい踏みらったる事ん=だから、人間が踏み入れた事も
無えらんあがらん分からんあい=無いのかもしれないし、
うかあさぬならぬ=危なくならない。「ならぬ」は、「ならん」と併存しているが、少し古い言い方。強調するときなどは思わず出る言い方でもあるようだ。「うかあさん」の「あ」抜きの「うかさん」は、「可笑しい」という意味になるので要注意。
やくとぅる=だからこそ。「る」は前の語を強調を表わす助詞「どぅ」の清音。ここでは「~こそ」と訳した。
くまぬハマスーキや=ここのクサトベラは、
あんすか迄ん=これほどまでに、
ゆかとおる筈=生い茂っているのだろう。「ゆかとおん」は「ゆかゆん」の進行形で、「豊かに稔る」の意味。
沖縄ぬ浜やれえ=沖縄の浜辺なら、
まあにんあぬ草どぅやしがる=どこにでもある草なのだが。「やしがる」の「る」も強調助詞「どぅ」の清音。

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