西表上原港
 上原港(ゐいばるんなとぅ)お、西表島(いりうむてぃじま)ぬ西方(いりいかた)んかい行(い)ちゅる肝要(かんゆう)な港なとおん。  夏(なち)ぬ間(うゑえだ)あ、写真(しゃしん)ぬ如(ぐとぅ)、いいくる海(うみ)え池(いち)ぬ水心(みじぐくる)。  やしが、冬(ふゆ)お新北(みいにし)ぬ吹(ふ)ちゅる時分(じぶん)からあ、海ぬ荒(し)ぶでぃ、船(ふに)ぬ走(は)らん日(ふぃい、ひい)ぬ多(うふ)くなてぃ来(ち)ゅうんでぃぬ事(くとぅ)。  うんなばあや、東方(あがりばた)ぬ大原港(ううばるんなおぅ)から回(まあ)てぃ行(い)かんでえならん。  地(じい)ん人(ちゅ)お慣(な)りとおしが、観光客にとぅてえ不便(ふびん)やん。やしが、丁度(ちょうどぅ)、いいしゃくどぅやるんでぃち、安(やす)んじらんでえならん筈(はじ)。  上原お18世紀(しいち)中頃(なかぐる)んじ興(うく)さてってぃ、名(な)ぬ聞(ち)かりとおるデンサー節(ぶし)ん、くまんじなたん。  やしが、明治43年(にん)、ヤキイぬ事荒(くとぅさび)なかいや敵(かな)あな、擦消(しりふ)なたん。  今(なま)ぬ上原お、戦後(いくさあとぅ)、別(びち)ぬ人(ちゅ)ん達(ちゃあ)にゆてぃ新(みい)くに興(うく)っさたるむぬやしが、デンサー節え新村(みいむら)ぬ人ん達んかい受(う)ち継(ち)がってぃ、毎年(めえにん)、「デンサー節大会」ん催(むゆう)さっとおん。

【語句】
上原港お、西表島ぬ西方んかい=上原港は西表西部へ
行ちゅる肝要な港なとおん=行く重要な港である
夏ぬ間あ、写真ぬ如、いいくる海え=夏の間は、写真のように
大抵、海は、 池ぬ水心=池の水のよう(に凪ぐ)
やしが、冬お新北ぬ吹ちゅゅる時分からあ=だが、冬季は北風が吹き始める頃からは、
海ぬ荒ぶでぃ、船ぬ走らん日ぬ多く=海は荒れ、船の欠航する日が多く
なてぃ来ゅうんでぃぬ事=なってくるとの事
うんなばあや、東方ぬ大原港から=そういう場合は、東部の大原港から
回てぃ行かんでえならん=回って行かなければならない
地ん人お慣りとおしが、観光客にとぅてえ不便やん=地元人は慣れっこだが、観光客にとっては不便だ。
やしが、丁度、いいしゃくどぅやるんでぃち=だけど、「まあいいか」ぐらいに考え
安んじらんでえならん筈=諦める方がよいだろう。
上原お18世紀中頃んじ興さてってぃ=上原は18世紀中頃に興され
名ぬ聞かりとおるデンサー節ん、くまんじなたん=名高いデンサー節もこの地で発祥した。
やしが、明治43年、ヤキイぬ事荒なかいや=だが、明治43年、マラリア禍には
敵あな、擦消なたん=勝てず、廃村になった
今ぬ上原お、戦後、別ぬ人ん達にゆてぃ=現在の上原は戦後、別の人々によって
新くに興っさたるむぬやしが=新たに再建されたのであるが
デンサー節え新村ぬ人ん達んかい受ち継がってぃ=デンサー節も新村に人々受け継がれ
毎年、「デンサー節大会」ん催さっとおん=毎年、「デンサー節大会」も催されている